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会社で日本人はたった1人。そして、インドでの生活、仕事。
インドを「鉄格子のない牢獄」と例えたその意味とは!?
エンジニアとしての夢についても、三浦さんにお話を伺ってきました。


【Profile】
三浦 健司(みうらけんじ)
1974年京都生まれ、工業高校卒業後、装置メーカへ入社。組立、検査、加工など現場業務を経験の後、主にベアボードテスターの設計業務に従事。
2001年シーシーエス株式会社へ入社。マシンビジョン用LED照明の開発業務に尽力する。
2012年CCS – Elux Lighting Engineering Pvt Ltd 取締役へ就任。技術のグローバル展開を推進している。
現在インド在住。趣味は登山、スキー、自転車など。

お住まいの地域:ケララ州 トリバンドラム (Trivandrum Kerala)

「私しか、いなかった」


「インドにきたキッカケを教えて下さい」

さいむら:インドに来たきっかけを教えて下さい。

三浦:もともと、この事務所ができたのが2年前(2011年)で、その時は現地で採用した日本人の方がいたんです。その方がオペレーションしてきたんですが、本社の方針もあって、彼(前任)もちょっと辞めてしまって。辞めたのが去年(2012年)の8月なんですけど、それまでに、Vinod(現在のスタッフ)が研修に来てたんですよ、日本のほうに。でトレーニングをしてたんですけど、その時の担当が私だったんですね。

出張ベースで来る予定はあったんですけど。で、こっち(インド)は日本人のスタッフがいるっちゅうことで、誰が行く?いうことになって、私が行くことになったんです。

さいむら:それは、辞令という形になるんですか?

三浦:まぁ、そうですね。

さいむら:断ることもできたんですか?

三浦:他の担当者もいたんですけど、なかなかちょっと手を上げる人が誰もいなくて。
インドということもあって。うん。まぁ、私しかいいひんかったんかなぁ、と思いながら。(笑
そんな別に、海外出るのは嫌いじゃなかったので、たまには違う仕事もしてみよかなーという。前向きな形で来ましたけどね。

オフィスでの1枚

オフィスでの1枚

「ホンマにお祈りしはんのんか?」


「インドに来る前のイメージ」

さいむら:実際に、インドに来る前のイメージはどんなものだったんですか?

三浦:来る前に、彼(Vinod)が日本へ来る時があったんでね。その時は、んーどうなんだろ、毎日2時くらいにお祈りしはんねんやろか?とか(笑)食事どうすんの?とか。わからん事だらけでした。インドに、ほとんど興味もなかったし(笑)まさかインドに事務所つくるとは思ってなかった。でまぁ、会社の方針で事務所つくって、彼が研修する頃になって、そのあたりから、だからもう、ホンマにお祈りしはんのんか?とか、そんなイメージしかなかったです。

あったかい国なんで、日本は四季があるじゃないですか。服があんのかどうか、とか(笑)その辺までも用意しなアカンのかとか、食事はどうするのか、などなど。彼が来て、聞きながらどないやねん、こないやねん言うて、で彼も日本好きで、我々も交流したんです。でもまぁ、彼は日本に来て、結構楽しんでたみたいですよ。

そんな何にもわからへんモノ同士が一緒に仕事しよか!っちゅうのも結構未知な部分が多かったですけど。それをまぁ楽しむようにしてはやってました。

さいむら:じゃあ、彼(Vinod)から話を聞いてたから、大体インドの事はわかってました?

三浦:大体イメージというか、彼もここ(トリバンドラム)の出身なんでね。日本にいたら北インドのイメージが大きいんですけど、彼と話してる分ではやっぱり、こっち(南インド)の人が北インドに行くのも、身構えるみたいなこと言うてたんで(笑)

さいむら:南は穏やかだよーみたいな感じですか?

三浦:彼が言ってたのは、「日本の夏の方が暑いね」みたいなのとか。まぁ、そんなイメージのまま私は来たんですけど。

社員とPonmudiへ。

Ponmudiで現地の人達との1枚。

「毎日が“なんでやねん”の連続」


「インドに来た後のイメージ」

さいむら:実際に来てみてイメージは変わりましたか?

三浦:やっぱり、来た時は毎日が「なんでやねん」の連続でした。出張の時は、ホテルに泊まってるんですけど、なにかと不自由で。毎日なにかありました。

さいむら:ホテルでも何かあるんですか?

三浦:あります、あります。タオルがなかったり、タオル頼んだら、タオル持ってきたけどタオルが汚れていたりとか。洗濯物はどっかいくし、それで、きいたら「次の朝持ってくる」言うて絶対持って来ないですし(笑)で、どないなってんねや?ってきいたら「また明日の朝持ってくる」とか言うて、まず持ってこないっすわ(笑)だから、必ず私は(服を)写真撮っておくんです、出す前に。で、スタッフにこれや!って見せて。そしたら、「すごいなー日本人」って関心してましたけど。あんたがもっと、ちゃんとしてくれよって思います。

「鉄格子のない牢獄」


「実際に住んでみたイメージ」

さいむら:実際にインドに住んでからのイメージを教えて下さい。

三浦:まぁ今も思いますけど、“鉄格子のない牢獄”ですね。

さいむら:いい言葉、頂きました(笑)

三浦:思いますね(笑)

さいむら:それは、どういう時にそう思われますか?

三浦:まぁ、自由なんですけど、自由がないんですよね。
自由っていうより、特に、そのモノが不足してますよね。日本が恵まれてるのかもわかりませんけど。何かと不便です。別に何でもやろうと思ったら出来るんだけど、何かと不便です。

毎日、停電するし。去年は雨が少なくて、計画停電が毎日あったんです。朝、晩に分けて2回、30分ずつ。必ず停電があって、炊飯器のスイッチ押すのも、時間見てから押さなきゃいけないし、シャワーしてても真っ暗やし(笑)
ファン(室内扇風機)も止まるし、エレベータも閉じ込められたら、えらいこっちゃやし。だから、階段使うんです(笑)一応バックアップはついてるんですけど。そのバックアップが、たまに動かへんときあります。(笑)

まず、最初に今の家に、引っ越してきた時が、エアコンとかついてる部屋やったんですけど、動かないし、ガスもきてなかった。換気扇のダクトもないんです。でも、それなりにモノは置いてあるんですよ。なんか、ほとんど生活できひん状態やったんです。

さいむら:その状態でも、入居できたんですね。

三浦:しかも、来てからエアコンが使えるまで4~5ヶ月かかりました。何回も、修理しに来てもらっても直らないんですよ。電源ついても冷えない。毎回、来ては、室外機持って帰ったり、室内機持って帰ったりとか、結局は全部取り換えたんですけど。

さいむら:インドならでは、って感じですね。

三浦:電気屋も、「土曜日の午前中来ますわ」ってい言うても来ないですし。来たらとりあえず手ぶらで来て、見るだけ見て帰って。「夕方また来ますわ」とか言って、絶対来ないですし。びっくりしますよね(笑)

彼(Vinod)は結構いいよって、南だからみんな、のんびりしてるよーって、言うてたけど、のんびりしすぎや(笑)

Ponmudiへサイクリング

Ponmudiから見える山々

「英語が得意じゃなかった」


「インド人と働く」

さいむら:インド人と働くっていうことについて、コミュニケーションはうまくとれますか?

三浦:やっぱり難しいですね。英語がそんな得意じゃないというか、ほとんど喋れない。しかも、日本人ほとんどいないでしょ。だから、生きていけるかなと思いながら来たんですけど。
ただ、その仕事をする上では、専門的な用語は英語だったり、図面に書けばわかるし、そんなに苦労はないんですけど。ただ、アカウントの話をされると全然わからないですけどね(笑)バジェットの話とか、法律がどうのこうの、税金がどうのこうのとか。そういうのは本社の方に、助けてもらいながら。
あとは、もうちょっとゆっくり話してとか、文章にして、とかやってますけど。やっぱり英語の問題が不安でしたね、通訳してくれる人いないし、日本人私1人やし。

さいむら:働いていくなかで、コツを掴んだりしたんですか?

三浦:どうなんでしょうね、でも生きていかな、しゃあないし。必要にかられて(笑
まぁでもそんなに、未だに英語できないですけど、なんとか生きてます。

初めのうちはコミュニケーション、英語を学ぶのに彼女を作るのを頑張りました。(笑
でも、インドで彼女をつくるのは難しです。特に、トリバンドラムの女性は固いですね、コンサバティブで無理ですわ。メールでやりとりしたりはしますけど、一緒にデートしたりとかは、ないです。

さいむら:デートに誘っても、難しいんですか?

三浦:うん。トリバンドラムは特に田舎なんで、古い文化が残ってて、彼らも言うてましたけど、ムンバイ、デリーにいくと違うって言うてましたけどね。そっち(都会)へいったら、インド人の彼女もできるんじゃないかと言うてました。

「アジアの勢い」


「インドに来てよかったこと」

さいむら:インドに来てよかったなって思うことはなんですか?

三浦:、、、難しいですよね(笑

さいむら:あえて、言えば?

三浦:あえて言えば、どうだろ。インドに来てよかったことはないですね(笑

ま、でも自分の視野が広がったっちゅうのは、エエかもしれませんね。ずっと日本にいて、今までも結構出張で、中国なり、アメリカなり、ヨーロッパなり行かしてもらってたんですけど、やっぱり全然インドは違いますよね。こっちに来てから、シンガポールを行き来するようになって、またそのアジアの勢いっていうか、アジアの方が仕事してて楽しいですね。彼らが成長するのがすごい目に見えるし、すごくやる気あるし、その辺が自分の視野が広がったなぁっていうのはすごく感じます。

なんかでも、それに対して、失ったものが大きすぎるような気もしますけど(笑

「話し相手がいなかった」


「インドに来て大変だったこと」

さいむら:反対にインド来て、これは大変だったことはなんですか?

三浦:やっぱり1人でこっち来て、日本語喋る相手もいいひんし、うーん、確かに困りましたね。コミュニケーションする相手がいなかった。会社のスタッフとも、たまにはどっか行ったりしますけど。毎日はそんなに喋ることもないし。仕事のお付き合いになっちゃうし。飲みに行くこともないし。

さいむら:そうですね、インドはお酒飲まないですからね。

三浦:それがちょっと辛かったですね。アフター5の過ごし方が。家に帰って自分でご飯作って食べて、どうしよかなーみたいな。

だから、早くこっちの友達をつくろうとか思いましたけど。だから、休みの日は何にも用事なかったら、どっか出かけるようにしてました。自転車をこっちに持ってきてたんで、サイクリングに出かけたりとか。

でも、ホンマに1人で来て、話し相手が居ない、そこのところが一番辛かったですね。英語もペラペラ喋られへんし。まぁ、英語が話せたら、もうちょっとうまくできてたかもしれませんね。(笑)

やっぱり誰か話し相手がいんと、インドは辛いかもしれませんね。

さいむら:単身でくるのはお勧めしないですか?

どうなんでしょうね、かなり精神的に強くないと難しいかもしれないですね。キャンプ並ですもんね(笑)
食生活から何から、日本のように生活してたらすぐ破綻しますよね。

さいむら:日本のように生活したくても、できないですもんね。

三浦:なんか、この前も水でんようになって。今まで、必ず水はでてたんですけど。水がでなくて、どうしたもんかなと思って、ガスもない時あったし、電気はしょっちゅうないし、インターネットもしょっちゅう繋がらへんし。TVもつかへん時あるし。日本じゃ考えられないですね。

インドは家族連れてきたら、(家族が)辛いような気がしますけど、やっぱり誰か一緒に来た方がいいかもしれませんね。まぁ、でも奥さんがノイローゼになるかもしれないですけど。日本人も少ないし、遊ぶところもないですからね。

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「常夏、ゴミが多い」


「トリバンドラムってどんなところ?」

さいむら:トリバンドラムについては、どんなイメージですか?

三浦:ココナッツですね。常夏&ココナッツ。ようわからんけど(笑
まぁジャングルなイメージですね。なんかね、最初はジャングル探検が楽しかったですよ。自転車で探検して、でもやっぱりすぐ飽きますね。
あんまり危ない事はできないですから、あんまり遠いところは行ってないです。自転車で行ける範囲くらい。道も危ないし、無秩序のトラフィックが。

ま、私のインドのイメージは全てここ(トリバンドラム)なんですよね。他の都市もムンバイとチェンナイくらいしか行ったことないし。ま、でもどこいってもインドは一緒ですよ。ゴミだらけだしね、ゴミだらけのイメージしかないですね、インドは。とにかく汚い。

インド人に「なんでゴミ捨てるのか?」って聞いても、普通なんですよ。「それが普通。」っていうてましたね。

常夏、ゴミが多い、とにかく汚い。

「世界を征服したい」


「今後の目標を教えて下さい」

さいむら:今後の目標を教えて下さい。

三浦:もともと私はこの世界(業界)で「世界を征服したい」と思ってるんですよ。それで、私がマネジメントについたのは、5年くらい前かな。その時に、誰にも負けへん製品を作りたいなぁって。結構コンペティターが多いんですけど。やっぱりその中でも、お客様から見て、私の作った商品しか選ぶ理由が無い商品を作りたいなって思ってます。

本社にいる時は、開発の部隊にいたんですけど、今はちょっと寄り道して。まぁ、世界を征服するのは日本からでは無理かなぁと。
それと、エンジニアでいる間に、「歴史に名前が残る」じゃないですけど、特許をだして、この時代にエンジニアとして生きたっていう証を残すこと、それがやっぱり目標だったり、やりがいですね。

また、日本で企画された商品では、世界に勝てないです。海外の展示会に行って、そこで出会うコンペティターの製品とか見たりするんですけど、それぞれの市場にあった製品を作らないと、目標である世界の征服はできないですね。

その中で、コミュニケーションがやっぱり全て英語なんですよね。だから寄り道して、技術プラス英語でコミュニケーションもできたらなぁと。それが自分のチャレンジとなってて、(インドへ)来たっていうのもあります。海外のデザインを取り入れたりとか、海外のエンジニアと話したりとか、コミュニケーションしたいなって時に、どうしても英語が必要なんで。その勉強も兼ねて、インドへ行ってみようかなって。(笑)

最終的には、世界シェアNo.1になって、世界征服したいですね。コンペティターがなくなるくらい。(笑)
日本のいい所もあるんです。日本のいい所だけを取り入れて、現地でローカライズしたいなと思います。

「日本らしさを忘れずに」


「インドに興味がある・働きたいって人へメッセージ」

さいむら:インドに興味がある・働きたいっていう方にメッセージをお願いします。

三浦:どうなんでしょうね。でも、あんまりオススメはしたくないですよね。正直。(笑)
でも、日本人の良さを取り入れた仕事をしてほしいなって思います。今、日本もどうかな?って感じはあるんですけど、でも、その「日本らしさ」を忘れずに。
まぁ、インドだけじゃないですけど、特に若い方には、海外で仕事してほしいなって思いますけどね。

さいむら:現地に染まりすぎるんじゃなくて、っていうことですかね?

三浦:結構、インドのいい所もあるんですけど、うーんでもなんか、インドはまだちょっと早いんちゃうかなって思いますね。

さいむら:それは市場としてですか?

三浦:市場としても国としても。なんていうんでしょうね、日本人からしたら、すごく住みにくいと思います。だから、インドに来なくても、フィリピンとかインドネシアとか、まだあっちの方が、成長率は低いかもしれないけど、確実かもしれないですね。
インドは結構ギャンブルに近いような気はします。宗教が結構インドは色濃いでしょ。なかなか変わらへんと思います、インドは。

(インタビュー・編集=雜村洸宇、写真=冨田太貴)

<インタビューを終えて>
インドに対する、歯切れのいい想いをお持ちの三浦さん。
残念ながら非常に共感できる部分も多かったのは事実です(笑
それでも自分の目標・チャレンジのために、インドで仕事をされたからこそ、
そこからの、次の景色が、見えているように感じました。
ギャンブルしたい方はぜひインドへ。